共済の解約返戻金とは?仕組みと注意点を整理

共済の解約返戻金の仕組みと注意点を説明する記事用アイキャッチ。スーツ姿の男性が疑問を抱える様子と、共済の本・お金のアイコンを組み合わせたイラスト。
目次

解約返戻金は“思わぬ資金”になる一方で注意も必要

個人事業主や中小企業経営者の多くは、節税や将来の資金準備のために「共済制度」を活用しています。特に小規模企業共済や**経営セーフティ共済(倒産防止共済)**は、掛金が全額経費や所得控除になるため人気です。

しかし、掛金を途中で解約すると「解約返戻金」が支払われます。この返戻金は、一見すると臨時収入のように見えますが、受け取り方によっては税金負担が大きくなるリスクがあります。さらに、解約タイミングや運用期間によっては、掛金よりも少ない額しか戻らないこともあるため、正しい理解が欠かせません。


解約返戻金で失敗する3つの典型パターン

共済を解約する際、多くの経営者や個人事業主が以下のような失敗をしています。

  • 税負担を考慮せずに解約し、所得税・住民税が大幅に増加
  • 運用期間が短く、元本割れで損をする
  • 退職金や廃業時の資金として使う予定が狂う

特に税金の取り扱いは制度によって異なり、共済の種類や解約理由によって**「退職所得」「一時所得」「雑所得」「事業所得」**など課税区分が変わります。
つまり、正しい知識がないまま解約すると、思った以上に手元に残らないケースが多いのです。


解約返戻金は「仕組み」と「税金」を理解して計画的に受け取るべき

共済の解約返戻金を有効活用するためには、次の2つを押さえる必要があります。

  1. 共済ごとの仕組みと返戻率の違いを理解する
  2. 課税関係を把握し、解約タイミングを計画する

これらを事前に理解しておけば、不要な税負担を避け、事業資金や老後資金として有効に使うことができます。


共済には種類ごとに返戻金の計算方法が異なる

共済といっても、その性質や制度はさまざまです。代表的なものを整理すると以下の通りです。

共済制度対象者掛金の税務上の扱い解約返戻金の課税区分返戻率の特徴
小規模企業共済個人事業主・中小企業役員全額「所得控除」退職所得または一時所得長期加入ほど有利(20年以上で100%超)
経営セーフティ共済(倒産防止共済)法人・個人事業主全額「必要経費」事業所得または法人益金掛金の最高40ヶ月分、途中解約で元本割れ
中小企業倒産防止共済中小企業全額「必要経費」事業所得または法人益金12ヶ月未満は返戻金ゼロ
各種業界共済(商工会議所など)団体加入者制度による制度による返戻率や条件はバラバラ

ポイント

  • 小規模企業共済は、退職や廃業などの理由で解約すると退職所得扱いになり、税負担が軽くなります。
  • 経営セーフティ共済は、任意解約だと全額課税されるため、使い方に注意が必要です。
  • 共済によっては、短期で解約すると掛金がまったく戻らないケースもあります。

課税区分の違いが税負担に直結する

解約返戻金の税務上の扱いは、共済の種類解約理由によって変わります。ここを誤解すると、思わぬ税額になることがあります。

主な課税区分の違い

課税区分主な適用ケース課税計算の特徴税負担の傾向
退職所得小規模企業共済で退職・廃業時に受け取る場合退職所得控除を適用し、控除後の半分が課税対象非常に有利
一時所得小規模企業共済を任意解約(退職・廃業以外)で受け取る場合(受取額 − 支出 − 特別控除50万円)× 1/2 が課税控除枠を超えると課税
雑所得共済年金形式で受け取る場合年間の受給額がそのまま課税対象年単位で累進課税
事業所得・法人益金経営セーフティ共済などを解約受取額全額が課税対象高税率になることも

ポイント

  • 退職所得は優遇度が高く、節税効果大。
  • 事業所得や法人益金扱いは全額課税されるため、決算期や利益状況を考慮すべき。
  • 一時所得は特別控除があるが、高額だと課税に。

解約タイミングによる返戻率の変動

解約返戻金の金額は、掛金総額と加入年数により返戻率が変化します。
早期解約ほど元本割れリスクが高く、長期加入ほど返戻率が上がります。

小規模企業共済の返戻率例

加入年数掛金総額解約返戻金返戻率
5年未満300万円250万円約83%
10年600万円570万円約95%
20年1,200万円1,260万円約105%

経営セーフティ共済の返戻率例

加入年数掛金総額解約返戻金返戻率
12ヶ月未満240万円0円0%
24ヶ月480万円360万円75%
40ヶ月800万円800万円100%

注意点

  • 短期で解約すると損失が大きい
  • 解約時期を1年ずらすだけで返戻率が大きく上がることがある
  • 事業資金の急な必要時は、一部貸付制度の活用も検討可能

具体例①:小規模企業共済を退職時に受け取るケース

条件

  • 掛金:月5万円 × 20年(総額1,200万円)
  • 解約理由:事業廃止(退職扱い)
  • その他の退職金なし

計算

  • 解約返戻金:1,260万円(返戻率105%)
  • 退職所得控除:40万円 × 20年 = 800万円
  • 課税対象額=(1,260万円 − 800万円)× 1/2= 230万円
  • 所得税・住民税(税率20%の場合)= 約46万円

ポイント

  • 退職所得控除と1/2課税の組み合わせで、実効税率は約3.6%
  • 大きな節税効果があり、手取りはほぼ全額確保可能

具体例②:小規模企業共済を任意解約するケース

条件

  • 掛金:月3万円 × 10年(総額360万円)
  • 解約理由:任意解約(退職・廃業ではない)
  • 他の一時所得なし

計算

  • 解約返戻金:340万円(返戻率約94%)
  • 一時所得=(340万円 − 360万円)※元本割れだが控除対象の計算
     → 損失部分は他の所得と通算できない(雑所得と異なる)
  • 実際の課税額はゼロ

ポイント

  • 元本割れの場合は税金がかからない
  • 損失を他の所得と相殺できないので、損益通算は不可
  • 長期加入で解約すると、返戻率が回復しやすい

具体例③:経営セーフティ共済を解約するケース

条件

  • 掛金:月20万円 × 40ヶ月(総額800万円)
  • 解約理由:任意解約(100%返戻)
  • 法人の利益:年間500万円

計算

  • 解約返戻金:800万円(全額益金)
  • 利益合計:500万円+800万円=1,300万円
  • 法人税(実効税率30%)= 約390万円

ポイント

  • 受取額全額が益金に加算されるため、税負担は大きい
  • 解約する年度の利益を圧縮する工夫(設備投資・役員退職金など)が必要
  • 分割解約はできないため、資金繰りと税負担を同時に考慮すべき

解約返戻金の上手な活用と注意点

1. 解約の目的を明確にする

  • 資金繰りの改善か、退職金の準備か、事業転換資金かを決める
  • 税負担を最小限にするため、解約理由とタイミングを一致させる

2. 解約年度の利益調整を行う

  • 法人の場合:役員退職金の支給、設備投資、節税型保険の活用
  • 個人事業の場合:青色申告特別控除や経費計上を最大限活用
  • 必要に応じて数年単位で解約計画を立てる

3. 他の資金調達方法と比較する

  • 返戻率が低い時期に無理に解約するより、貸付制度の利用も検討
  • 金利や返済条件を比較して、総合的に有利な方法を選択

4. 税理士やFPへの事前相談

  • 課税区分や控除額の確認
  • 解約後の資金運用プランの設計
  • 事業承継や相続への影響も踏まえた長期戦略

まとめ

共済の解約返戻金は、制度の種類や解約理由によって課税方法・税額・返戻率が大きく変わります。
退職所得として受け取れば非常に有利ですが、法人益金や雑所得扱いになると税負担が重くなります。

押さえるべき3つのポイント

  1. 課税区分を把握する(退職所得・一時所得・雑所得・益金)
  2. 解約タイミングで返戻率が変動する(元本割れリスクに注意)
  3. 税負担と資金需要を同時に考慮する(貸付制度も選択肢)

計画的な解約と事前のシミュレーションにより、手取り額を最大化しつつ、事業や生活資金に有効活用できます。

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