共済の受取方法で税負担はどう変わる?年金型と一時金型を徹底比較

共済の受取方法別の税負担比較を説明するイラスト(年金型と一時金型の違いを表現)
目次

共済の受取方法をどう選ぶべきか

個人事業主や中小企業経営者にとって、共済制度は「将来に備えながら節税できる」心強い制度です。代表的なものに小規模企業共済や中小企業退職金共済があります。これらは積み立てた掛金を、将来「退職金」や「老後資金」として受け取ることが可能です。

しかし、受取時に悩むのが「年金型で受け取るか」「一時金型で受け取るか」という選択です。どちらを選ぶかによって、税金の負担が大きく変わるため、安易に決めてしまうと損をする可能性があります。


選択を誤ると大きな税負担に

共済の受取は単なる資金回収ではなく、「課税対象」となります。年金型・一時金型のいずれも税金がかかりますが、その仕組みや負担額は異なります。

  • 一時金型 → 退職所得控除の対象となり、控除枠が大きい
  • 年金型 → 公的年金等控除の対象となるが、毎年の課税が発生

つまり、同じ金額を受け取る場合でも、選び方によって手取り額に大きな差が出るのです。特に高額な積立をしている人や、他の退職金・年金と重複する人は要注意です。


結論:金額規模とライフプランで選ぶ

結論からいえば、最適な受取方法は人によって異なります。

  • まとまった退職金を受け取りたい場合 → 一時金型がお得になりやすい
  • 老後の生活費として分割で受け取りたい場合 → 年金型を選ぶのが安心
  • 退職金や公的年金の有無によって有利不利が変わる

つまり、「どちらが得か」は一概に言えず、自分の退職金の総額や老後の生活設計に応じて判断する必要があります。


一時金型で受け取る場合の税制

課税方式:退職所得

一時金型で受け取る場合、その共済金は「退職所得」として課税されます。退職所得は他の所得と比べて優遇が大きく、以下の計算式で課税所得が決まります。

退職所得 = (受取額 − 退職所得控除)÷ 2

退職所得控除の計算

退職所得控除額は「加入年数」に応じて決まります。

  • 20年以下:40万円 × 加入年数(最低80万円)
  • 20年超:800万円 + 70万円 × (加入年数 − 20年)

例えば、30年加入して一時金を受け取った場合:

  • 退職所得控除 = 800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円

もし受取額が1,800万円だった場合、

  • (1,800万円 − 1,500万円)÷ 2 = 150万円 が課税所得となります。

メリット・デメリット

  • ✅ 控除額が大きいため、ある程度の金額までは非課税で受け取れる
  • ✅ 他の所得と分離課税されるため、税負担が軽い
  • ❌ 一度に受け取るため、資金管理が必要

年金型で受け取る場合の税制

課税方式:雑所得(公的年金等控除適用)

年金型で受け取る場合、毎年の受取額が「雑所得」として課税されます。公的年金等控除が適用されるため、一定額までは非課税、または軽減されます。

公的年金等控除の仕組み(65歳以上)

  • 年金収入110万円以下:非課税
  • 110万円超〜330万円以下:収入 − 110万円が課税対象
  • 330万円超〜410万円以下:収入 − 120万円
  • 410万円超〜770万円以下:収入 × 0.75 − 27.5万円
  • 770万円超:収入 × 0.85 − 78.5万円

(65歳未満の場合は控除額がやや低い)

メリット・デメリット

  • ✅ 定期的に受け取れるため生活資金として安心
  • ✅ 一度に使い切るリスクがない
  • ❌ 長生きしないとトータルで得にならない可能性
  • ❌ 他の公的年金と合算され、課税が重くなるケースがある

具体例で見る一時金型と年金型の比較

共済の受取方法を選ぶ際には「どちらが自分にとって有利か」を具体的な数字でシミュレーションするのが重要です。ここでは、いくつかのケースを想定して比較してみましょう。


ケース1:受取額が比較的少ない場合(600万円)

  • 加入期間:15年
  • 受取総額:600万円

一時金型の場合

  • 退職所得控除:40万円 × 15年 = 600万円
  • 受取額600万円 − 控除600万円 = 0
    非課税で全額受取可能

年金型の場合(10年分割・年60万円)

  • 年金収入:60万円/年
  • 公的年金等控除:65歳以上なら110万円まで非課税
    → 年金収入60万円は非課税
    結果的に非課税で同じ

👉 少額の場合は、どちらを選んでも税負担はほぼゼロ。ただし、一時金で受け取れば自由度が高く、年金型は生活資金として計画的に使いやすい。


ケース2:受取額が中規模(1,200万円)

  • 加入期間:25年
  • 受取総額:1,200万円

一時金型の場合

  • 退職所得控除:800万円 + 70万円 × 5年 = 1,150万円
  • 課税対象: (1,200万円 − 1,150万円) ÷ 2 = 25万円
  • 税負担:所得税・住民税を合計しても数万円程度
    ほぼ全額が手取り

年金型の場合(20年分割・年60万円)

  • 年金収入:60万円/年
  • 公的年金等控除:65歳以上なら110万円まで非課税
    → 年金収入は全額非課税
    完全非課税で受取可能

👉 この場合、税負担だけで見れば年金型の方が有利だが、一時金でもほぼ非課税。生活資金の使い方次第で選択可能。


ケース3:受取額が大きい場合(3,000万円)

  • 加入期間:30年
  • 受取総額:3,000万円

一時金型の場合

  • 退職所得控除:800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円
  • 課税対象: (3,000万円 − 1,500万円) ÷ 2 = 750万円
  • 税負担:所得税率20%と仮定 → 約150万円+住民税など
    → 手取りは 約2,800万円

年金型の場合(20年分割・年150万円)

  • 年金収入:150万円/年
  • 公的年金等控除:110万円を差し引き → 課税所得40万円/年
  • 所得税率5%+住民税10%と仮定 → 年6万円程度の税負担
  • 20年合計で約120万円の税負担
    → 手取りは 約2,880万円

👉 高額な場合、年金型の方がトータルで税負担は軽くなる傾向。ただし、一度に資金を必要とする場合は一時金型が有利。


一時金型と年金型の比較表(まとめ)

項目一時金型年金型
課税方式退職所得雑所得(公的年金等控除適用)
控除退職所得控除(加入年数に応じて大きい)公的年金等控除(年収ベース)
税負担の特徴一度の受取でも控除が大きく有利少額ずつなら控除内で非課税も可能
メリット・まとまった資金が手に入る
・退職金として活用しやすい
・生活資金として安定
・税負担が平準化できる
デメリット・資金管理が必要
・受取額が大きすぎると課税が増える
・長生き前提で得になる
・他の年金と合算で課税が増える

ケーススタディから分かる選び方のヒント

  • 受取額が少ない(〜1,000万円) → どちらでも非課税になるケースが多い
  • 受取額が中規模(1,000万〜2,000万円) → 一時金型でもほぼ非課税、年金型なら完全非課税の可能性
  • 受取額が大きい(2,000万円以上) → 年金型の方が有利になりやすいが、資金ニーズに応じて判断

ライフプラン別:どちらを選ぶべきか

共済金の受取方法は単に税制だけでなく、自分のライフプランや資金の使い道を踏まえて選ぶ必要があります。ここでは典型的なパターンを整理してみましょう。


退職後すぐにまとまった資金が必要な人 → 一時金型がおすすめ

  • 廃業時に事業清算の費用がかかる
  • 借入金の返済や設備処分の資金が必要
  • 住宅ローンや教育費など大きな支出が控えている

このように「退職時にすぐに多額の資金が必要」なケースでは、一時金型が有利です。退職所得控除が大きく、まとまった金額を受け取っても課税額は少なく済みます。

メリット

  • 資金ニーズに即対応できる
  • 他の退職金制度と合算しても控除が大きくカバー

老後生活の安定を重視する人 → 年金型がおすすめ

  • 毎月の生活費を年金収入でカバーしたい
  • 公的年金だけでは老後資金が不足しそう
  • 一度に大金を受け取って管理するのが不安

この場合は年金型を選ぶことで、生活費として定期的に共済金を受け取れます。公的年金等控除を活用すれば、少額なら非課税、一定額を超えても軽減された課税で済みます。

メリット

  • 長生きすればするほど受取総額が増える
  • 定期収入がある安心感
  • 税負担が分散され、急激な増税を避けられる

公的年金や退職金が多い人 → 一時金型が有利になりやすい

もし既に会社員時代の退職金や厚生年金、企業年金が十分にある人は、年金型で受け取ると他の年金と合算されて課税が増えてしまう可能性があります。
その場合、退職所得控除を活かせる一時金型で受け取った方が、トータルの税負担は軽くなる傾向があります。


公的年金が少ない自営業者 → 年金型で生活資金を補う

逆に、自営業者で公的年金(国民年金)のみの場合は、年金収入が少なくなるため、共済を年金型で受け取る方が生活資金の安定に役立ちます。公的年金等控除枠も使いやすく、税負担を抑えながら安定収入を確保できます。


併用という選択肢もある

実は、小規模企業共済の受取方法は「一時金型」か「年金型」のどちらか一方だけでなく、併用も可能です。

例えば:

  • 半分を一時金で受け取り、残りを年金型で受け取る
  • 事業清算資金を確保しつつ、老後生活費を安定化

併用することで、「大きな支出に対応しながら生活費も確保する」というバランス型の選択が可能になります。


選択のポイントを整理

  • 資金ニーズ重視 → 一時金型
  • 生活の安定重視 → 年金型
  • 両方バランスよく → 併用

ライフプラン別おすすめ早見表

ライフプランおすすめ受取方法理由
廃業後に設備処分や借入返済が必要一時金型まとまった資金がすぐ必要、退職所得控除で課税負担軽減
老後生活資金を安定させたい年金型公的年金と組み合わせて毎月の生活費を補える
公的年金や退職金が多い一時金型他の年金と合算すると課税が重くなるため
国民年金のみで将来が不安年金型少額年金なら控除枠で非課税にできる
両方を取りたい併用大きな支出と生活費の両立が可能

共済受取方法の最終結論

共済の受取方法は「年金型」と「一時金型」で大きく税負担が異なります。

  • 一時金型
    • 退職所得控除が適用され、控除額が非常に大きい
    • まとまった資金が必要なときに有利
    • 他の退職金制度と合算しても税負担を軽減できる
  • 年金型
    • 公的年金等控除が適用され、一定額までは非課税
    • 定期的に生活費を補うのに向いている
    • 長生きすれば受取総額が増える可能性あり
  • 併用型
    • 一部を一時金で受け取り、残りを年金として受け取る
    • 大きな支出と老後資金の両方に対応できる

結論として、**ベストな受取方法は「自分のライフプランと資金ニーズ次第」**です。単純に「どちらが得か」で判断するのではなく、老後の生活設計・事業清算・他の退職金制度の有無を踏まえて選ぶのが最適です。


経営者・個人事業主が取るべき行動ステップ

1. 老後のライフプランをシミュレーションする

  • 公的年金の見込額を確認
  • 退職後の生活費を年間いくら必要か見積もる
  • 一時金で必要な支出(借入返済・住宅ローン・教育費)を洗い出す

2. 共済金の受取額を試算する

  • 加入年数・掛金額に基づき、将来の受取額をシミュレーション
  • 税理士や金融機関のシミュレーションツールを活用

3. 税制優遇を最大化する受取方法を検討する

  • 一時金型:退職所得控除を確認
  • 年金型:公的年金等控除を確認
  • 併用型:一部を退職金、残りを年金として組み合わせ

4. 専門家に相談する

  • 税理士に「どちらで受け取るとトータルの税負担が少なくなるか」を相談
  • 相続や事業承継まで見据えた資金戦略を立てる

まとめ

共済の受取方法は「税金面」「資金面」「ライフプラン」の3つの観点から選ぶべきです。

  • 少額ならどちらでも非課税になりやすい
  • 中規模なら一時金でも年金型でもほぼ有利だが、生活資金の安定性を考える
  • 高額なら年金型が有利になりやすいが、一時金の資金ニーズ次第
  • 両立したいなら併用が可能

共済は「入るとき」だけでなく「受け取るとき」に最も大きな差が出ます。受取方法を正しく選ぶことで、節税効果と老後の安心を最大化できるのです。

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