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老後資金づくりにおける2つの有力な制度
老後資金の準備は、多くの事業主や経営者にとって避けられない課題です。特に、自営業者や中小企業の経営者は会社員と異なり、厚生年金だけに頼れないため、自ら制度を活用して将来に備える必要があります。その中でよく比較されるのが共済制度と**企業型確定拠出年金(企業型DC)**です。
両者とも税制優遇があり、長期的な資産形成に有効ですが、仕組みや使い勝手には大きな違いがあります。
制度を正しく理解せず選ぶリスク
制度名だけを聞いて「どちらも節税になるなら同じでは?」と判断してしまうのは危険です。
実際には、
- 対象者の範囲
- 掛金の上限額
- 受取方法と課税方式
- 資産運用の自由度
といった重要なポイントが異なります。
間違った制度選びは、資産形成の効率を下げるだけでなく、老後の受取時に思わぬ税負担を招く可能性もあります。
老後資金制度の選び方の結論
結論から言うと、
- 事業主や役員で安定的な所得があり、堅実に積み立てたい人は共済制度が向いています。
- 運用による資産成長を狙いたい人、社員の福利厚生も兼ねたい企業は企業型DCが有効です。
ただし、この判断は税制や資金繰り、将来の受取方法を総合的に考える必要があります。
共済制度の特徴とメリット・デメリット
共済制度の概要
共済制度は、中小企業や個人事業主向けに設けられた積立制度で、代表的なものに小規模企業共済や中小企業退職金共済があります。
掛金は全額所得控除となり、節税効果が高いのが魅力です。
メリット
- 掛金全額が所得控除(課税所得の直接減少)
- 安定した利率(元本割れリスクなし)
- 受取時に退職所得控除や公的年金等控除が使える
デメリット
- 中途解約すると元本割れの可能性
- 運用による資産成長は限定的
- 掛金額の柔軟性はあるが上限は月7万円程度
企業型確定拠出年金(企業型DC)の特徴とメリット・デメリット
企業型DCの概要
企業型確定拠出年金は、企業が掛金を拠出し、加入者がその資金を自ら運用する制度です。
掛金は非課税で拠出でき、運用益も非課税。受取時には一定の控除を受けられます。
メリット
- 掛金が全額非課税(法人の場合は損金算入)
- 運用益も非課税
- 投資信託など多様な運用商品から選べる
- 社員の福利厚生制度として魅力的
デメリット
- 運用成績によっては元本割れの可能性
- 60歳まで引き出せない
- 運用商品の選択や管理が必要
共済と企業型DCの比較表
| 項目 | 共済制度 | 企業型確定拠出年金 |
|---|---|---|
| 対象者 | 個人事業主、中小企業役員 | 企業の従業員、役員 |
| 掛金上限 | 月7万円 | 制度による(例:月5.5万円) |
| 掛金の税制 | 全額所得控除 | 全額非課税(法人は損金算入) |
| 運用 | 安定型(利息) | 自己運用(投資信託等) |
| 元本保証 | 基本的にあり | なし(運用次第) |
| 受取時課税 | 退職所得控除等 | 退職所得控除等 |










