フリーランスが入るべき保険の優先順位と選び方|失敗しない保障の組み方

フリーランスが加入すべき保険の優先順位と選び方を解説する記事のアイキャッチ画像。パソコンで仕事をする女性と、所得補償・生命保険・医療保険を示すイラストが描かれている。
目次

フリーランスにとって保険が重要な理由

会社員と異なり、フリーランスは企業の福利厚生や社会保険に守られていません。
病気やケガで働けなくなったときの収入補償や、老後の生活設計、万が一の遺族保障など、すべてを自分で準備する必要があります。

特にフリーランスの収入は安定しにくいため、「突然の出費」や「収入の途絶」に直面すると、生活や事業が一気に苦しくなるリスクがあります。そのため、保険は“万が一に備えるリスクマネジメント”として必須といえるのです。


ありがちな誤解と失敗例

フリーランスの保険選びには、いくつかの誤解や失敗パターンがあります。

  • 「若いからまだ大丈夫」と思い加入を先送りする
  • 「保険は節税対策」と思い込み、必要以上に法人保険や生命保険に加入する
  • 保障内容を理解せずに保険料の安さだけで契約する
  • 優先順位を決めず、不要な保険に加入して家計を圧迫する

こうした誤解は、いざという時に「必要な保障がなかった」という致命的な状況を招きます。
だからこそ、正しい優先順位と選び方を知ることが重要になります。


加入すべき保険の優先順位

フリーランスにとって保険は「全部加入」ではなく、限られた資金で効率よく備えることが大切です。以下のように優先順位を整理すると考えやすくなります。

第1位:健康保険・国民年金などの社会保険

  • 健康保険:医療費の自己負担軽減(高額療養費制度あり)
  • 国民年金:老後の基礎年金+障害年金や遺族年金の機能

これは強制加入なので、まずは滞納なく支払うことが第一歩です。

第2位:所得補償保険(就業不能保険)

  • 病気やケガで働けなくなったときに、収入を補う保険
  • フリーランスは「休んだら収入ゼロ」となるため、最優先で検討すべき

第3位:医療保険

  • 入院・手術にかかる費用を保障
  • 高額療養費制度である程度はカバーされるが、差額ベッド代や先進医療費は自己負担
  • 最低限の医療保険に加入しておくと安心

第4位:生命保険(家族がいる場合)

  • 遺族の生活保障のため
  • 独身・扶養家族なしなら必ずしも必要ではない

第5位:老後資金形成系(iDeCo・小規模企業共済)

  • 節税しながら老後の資産形成ができる制度
  • 特に小規模企業共済は「廃業時の退職金」として活用できる

保険選びで大切な考え方

フリーランスの保険選びには、以下の3つの視点が欠かせません。

  1. 生活を守る保障を優先
     まずは「収入が途絶えたら困るリスク」への備え(所得補償保険)。
  2. 医療費リスクをカバー
     高額療養費制度を前提にしつつ、足りない部分だけを医療保険で補う。
  3. 将来に備える資産形成
     節税と老後資金準備を兼ねた制度(iDeCoや小規模企業共済)を活用。

この優先順位を踏まえることで、保険料の無駄を避けつつ、バランスの良い保障が得られます。

なぜこの優先順位が正しいのか?

社会保険は「強制かつ最強の保障」

フリーランスにとって、まず守らなければならないのは社会保険です。
社会保険には次のような特徴があります。

  • 健康保険:医療費は自己負担3割、高額療養費制度で年間数百万円単位の出費を防げる
  • 国民年金:老後の基礎年金に加えて、病気やケガで障害を負った場合には「障害基礎年金」、死亡時には「遺族基礎年金」が給付される
  • 国民健康保険の付加給付(自治体ごと):出産育児一時金などもカバー

これらは未加入や滞納をすると差し押さえリスクまであるため、第一優先にすべき理由は明らかです。


所得補償保険が最優先の民間保険である理由

フリーランス最大の弱点は「働けない=収入ゼロ」となることです。
会社員は傷病手当金で給与の約2/3が最長1年半保障されますが、フリーランスにはこれがありません。

その代わりになるのが**所得補償保険(就業不能保険)**です。

  • 月額10万円~30万円程度を設定し、入院や長期療養で働けない期間の生活費をカバーできる
  • 保険料は所得に応じて調整できる
  • 家賃や住宅ローン、生活費を守る意味で極めて実用的

つまり、フリーランスの「生活の土台」を守る役割を果たします。


医療保険は「補完的」だから第3位

医療費については、高額療養費制度があるため「青天井に自己負担が発生するわけではない」のがポイントです。
ただし、以下の費用は公的制度ではカバーされません。

  • 差額ベッド代(1日5,000~20,000円程度)
  • 入院中の食事代・雑費
  • 先進医療(数百万円かかるケースあり)

そのため、最低限の医療保険+貯蓄で備えるのが合理的。
つまり、社会保険や所得補償保険の次に検討すべき理由がここにあります。


生命保険は「家族がいる人限定」

独身や扶養家族のいないフリーランスにとって、死亡保障は不要です。
逆に、配偶者や子どもがいる場合は、万が一の生活費を守るため生命保険が重要になります。

  • 必要保障額の目安=生活費 × 必要年数 − 遺族年金 − 貯蓄
  • 独身:原則不要
  • 家族あり:必須(特に子育て世帯)

このように、「人によって必要性が大きく変わる保険」だからこそ優先順位は第4位となります。


老後資金形成は「余力があれば」

最後に位置づけられるのが老後資金形成のための制度です。
フリーランスは退職金がないため、自力で積み立てる必要があります。

  • iDeCo:掛金全額が所得控除、運用益も非課税、受取時も控除あり
  • 小規模企業共済:掛金全額が所得控除、廃業時に退職金として受け取り可能

どちらも節税メリットが大きいため、資金に余力が出てきた段階で優先的に検討すべき選択肢です。


優先順位の整理表

最後に、ここまでの理由を整理した表を示します。

優先順位保険・制度必要性の理由
1位健康保険・国民年金など社会保険強制加入・基礎的保障
2位所得補償保険(就業不能保険)働けない=収入ゼロ対策
3位医療保険高額療養費制度で不足分を補う
4位生命保険(家族がいる場合)遺族の生活保障
5位iDeCo・小規模企業共済老後資金形成+節税効果

ケース別に見る保険加入のシミュレーション

独身フリーランス(20代後半〜30代前半)

  • 状況:生活費は月15万円程度、扶養家族なし
  • 必要な保険
    1. 社会保険(国民健康保険・国民年金)は必須
    2. 所得補償保険(月10万円保障程度)
    3. 医療保険(最低限)
  • 不要な保険:生命保険(扶養がいないため不要)
  • ポイント:貯蓄を優先しつつ、就業不能リスクに備えることが最重要

子育て世帯のフリーランス(30代〜40代)

  • 状況:配偶者と子ども2人、生活費は月30万円以上
  • 必要な保険
    1. 社会保険は当然必須
    2. 所得補償保険(月20〜30万円の保障)
    3. 医療保険(入院日額5,000円程度)
    4. 生命保険(定期保険で2,000万〜3,000万円の保障を確保)
    5. 老後資金形成(余力があればiDeCoや小規模企業共済を併用)
  • ポイント:家族の生活を守るため、死亡保障が優先順位で急上昇する。

高齢フリーランス(50代〜60代)

  • 状況:子どもは独立済み、老後を意識
  • 必要な保険
    1. 社会保険は当然必須
    2. 所得補償保険(必要だが、加入年齢制限に注意)
    3. 医療保険(持病や将来の入院リスクに備える)
    4. 老後資金形成(iDeCoの掛金上限や加入可能年齢を意識)
  • 不要な保険:死亡保障は必要性が低下(配偶者への最低限保障に絞る)
  • ポイント:老後資金対策を本格化させる時期。保障の過不足を見直すことが重要。

兼業フリーランス(会社員+副業)

  • 状況:会社員として社会保険に加入、副業でフリーランス活動
  • 必要な保険
    1. 社会保険(会社員として加入済み)
    2. 所得補償保険は「会社の傷病手当金」である程度カバーできるが、副業収入が大きければ追加で検討
    3. 医療保険は会社員時と同様に最低限
    4. 老後資金形成はiDeCoの企業型・個人型の両方を確認
  • ポイント:会社員の保障があるため優先度は下がる。ただし副業収入が生活の柱なら補強が必要。

フリーランス保険の費用感(目安)

実際にどのくらいの保険料がかかるかをシミュレーションすると、以下のようなイメージになります。

保険の種類月額保険料の目安備考
所得補償保険3,000〜8,000円保障額・免責期間による
医療保険2,000〜5,000円入院日額や先進医療特約の有無で変動
生命保険(定期保険)3,000〜10,000円年齢・保障額・保険期間による
iDeCo5,000〜23,000円全額所得控除、節税効果あり
小規模企業共済1,000〜70,000円掛金全額が所得控除

→ すべてをフル活用すると負担は大きくなりますが、優先順位を決めて必要最低限から始めるのが現実的です。

フリーランスが保険を選ぶためのステップ

ステップ1:自分のリスクを棚卸しする

  • 病気やケガで働けなくなった場合に収入がどれくらい減るか?
  • 家族の生活費や教育費にどれくらい必要か?
  • 貯蓄や資産でどの程度カバーできるか?
    👉 まずは「保障が必要なリスク」と「自己資金で賄えるリスク」を整理することが出発点です。

ステップ2:公的保障を確認する

フリーランスでも国民健康保険や国民年金は加入必須です。

  • 健康保険:高額療養費制度あり
  • 国民年金:障害基礎年金・遺族基礎年金あり
    👉 「公的にすでにカバーされている部分」と「不足している部分」を見極めることが重要です。

ステップ3:優先順位をつけて加入する

保険は「すべてに入る」のではなく、「リスクが高く、かつ金銭的ダメージが大きいもの」から加入します。

  • 就業不能 → 所得補償保険
  • 家族の生活 → 生命保険
  • 医療費の突発的支出 → 医療保険
  • 老後資金形成 → iDeCo・小規模企業共済

ステップ4:保険料のバランスを見直す

  • 目安としては「年間収入の5〜10%以内」に保険料を収めることが理想。
  • 高額な保険料で生活が圧迫されると本末転倒になるので注意が必要です。

ステップ5:定期的に見直す

フリーランスは収入や家族構成の変化が大きいため、2〜3年ごとに保険を見直すことが欠かせません。

  • 子どもが生まれた → 生命保険の保障額を増額
  • 住宅ローン完済 → 生命保険の保障額を減額
  • 老後が近づく → 所得補償を縮小し、老後資金形成にシフト

保険選びで失敗しないための注意点

不要な保険に入らない

  • 収入や家族状況に合わない高額な終身保険や学資保険は避ける
  • 「節税になるから」という理由だけで法人保険や貯蓄型保険に加入するのは危険

保険代理店の提案を鵜呑みにしない

  • 保険代理店は販売手数料の高い保険を勧めることがある
  • 必ず複数の会社・商品を比較すること

節税効果と保障のバランスを取る

  • 小規模企業共済やiDeCoは節税効果が高いが流動性が低い
  • 必要なときにお金を引き出せない点を理解した上で利用する

フリーランスに必要な保険は「リスクと優先順位」で決まる

フリーランスは会社員と違い、収入の安定性や社会保障の手厚さが劣るため、保険の重要度は高まります。
ただし、すべてに加入するのではなく、

  1. 就業不能リスクに備える所得補償保険
  2. 家族を守る生命保険
  3. 医療費をカバーする医療保険
    を軸に、老後資金形成として iDeCoや小規模企業共済 を組み合わせるのが現実的です。

自分のライフステージや収入に合わせて定期的に見直すことで、無駄なく効果的な保険プランを維持できます。

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