決算対策で使える節税アイデア20選|中小企業・個人事業主向け最新ガイド

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目次

決算期に押さえておきたい税金の基本

決算を迎えるにあたり、中小企業や個人事業主にとって最も気になるのが「税金をいかに減らせるか」という点です。事業で利益が出れば法人税や所得税の負担が発生しますが、実はちょっとした工夫や制度の活用で、税金を合法的に抑えることが可能です。

節税というと難しく感じるかもしれませんが、実際は「使える制度を知っているかどうか」が分かれ目になります。決算対策は翌年度の資金繰りや経営計画にも直結するため、経営者であれば必ず押さえておきたい重要ポイントです。

本記事では、実際に中小企業が使える節税アイデアを 20項目 に整理して解説します。どれも実務に役立つ内容で、決算を迎える前に確認しておくと効果的です。


節税の必要性が高まる理由

日本の法人税率は実効税率で30%前後、個人事業主も累進課税により高所得層は最大45%の所得税がかかります。さらに住民税や社会保険料も加わるため、「利益をそのまま残すと手元資金が思った以上に減る」状況になりがちです。

特に中小企業やフリーランスは、資金繰りの余裕が限られているため、節税を怠ると翌期の事業投資や生活費に影響します。逆にいえば、適切に節税策を講じることで「キャッシュを守りつつ事業を強くする」ことが可能です。


決算対策の王道とトレンド

結論から言えば、決算期の節税対策は大きく分けて次の3つに整理できます。

  • 費用計上を前倒しする方法
  • 税制優遇をフル活用する方法
  • 将来の備えを兼ねて節税する方法

これらをバランスよく組み合わせることで、単なる税金逃れではなく、経営強化につながる決算対策が可能になります。特に2025年現在は、インボイス制度や電子帳簿保存法の影響もあり、経費処理や設備投資のルールが変わってきています。そのため「最新制度に即した節税」を選ぶことが重要です。


節税アイデア20選の全体像

ここからは、20の節税アイデアを体系的に紹介していきます。まず一覧で整理すると以下のようになります。

分類節税アイデア例
費用前倒し型交際費の活用、広告宣伝費の前払い、消耗品の購入、修繕費の計上
税制優遇型中小企業経営強化税制の即時償却、研究開発税制、青色申告特別控除、所得拡大促進税制
将来備え型小規模企業共済、倒産防止共済、確定拠出年金(企業型・iDeCo)、法人保険
資産形成型長期平準定期保険、逓増定期保険、生命保険信託、退職金積立
キャッシュ重視型赤字繰越控除、役員給与の見直し、賞与の損金算入、借入金利息の調整

この中から特に実務に効果が高いものを、順を追って詳しく解説していきます。


費用を有効に活用する節税策

交際費・会議費の計上

中小企業の場合、交際費は年間800万円まで損金算入が認められています(資本金1億円以下の法人)。取引先との食事や贈答などは「会議費」として計上できる場合もあり、仕分けの工夫で節税効果を高められます。

消耗品や備品の購入

決算前にパソコンや事務用品などをまとめて購入すると、全額を経費計上できるケースがあります。特に10万円未満の資産は一括経費にできるため、必要なものは年度内に購入しておくとよいでしょう。

修繕費の活用

建物や機械の修理費は「資本的支出」と「修繕費」に分けられます。資本的支出は資産計上ですが、修繕費は全額経費にできます。税務署の基準を満たすように修繕費扱いにできれば、即効性のある節税となります。

中小企業経営強化税制の即時償却

中小企業が一定の設備投資を行う場合、即時償却や10%の税額控除を選択できる制度があります。例えば、生産性向上に寄与する機械やソフトウェアを購入した際、通常は数年に分けて減価償却するところを、全額をその年に経費として落とすことが可能です。

これにより、短期間で大きな利益を圧縮でき、決算対策として非常に有効です。業種によって対象設備が異なるため、事前に経産省の認定を受ける必要がある点に注意しましょう。


研究開発税制の活用

製品開発やシステム改善にかかる費用は「研究開発費」として認められる場合があり、その一部を税額控除できます。特にIT関連や製造業では活用余地が大きく、単なる経費処理だけでなく税金そのものを減額できるのが特徴です。

研究開発といえる範囲は広く、社内システムの改善や新サービスの企画も対象になるケースがあります。自社が対象かどうかは顧問税理士や専門家に確認してみる価値があります。


青色申告特別控除の活用

個人事業主の場合、青色申告特別控除を使えば最大65万円を所得から差し引けます。クラウド会計ソフトを導入し、電子帳簿保存法に沿った記帳・保存を行うことで満額控除が可能です。

中小企業の役員報酬を個人側で節税したい場合、役員自身が青色申告者で副業収入を管理するケースでも、この制度は有効です。


所得拡大促進税制

従業員に給与を一定割合以上増加させた企業は、法人税の一部を控除できる制度があります。人件費を「コスト」として捉えるのではなく「投資」として活用できる仕組みで、雇用環境の改善と節税の両立が可能です。

この制度は改正が続いており、直近の要件は「給与総額が前年度比で一定割合以上増加していること」などがポイントです。


将来の備えを兼ねた節税策

小規模企業共済の活用

個人事業主や会社役員が利用できる共済制度で、毎月1,000円〜7万円まで積み立てた掛金を「全額所得控除」できます。実質的に「将来の退職金」を準備しながら、その年の課税所得を減らせるため、決算対策の王道といえる手法です。

解約時には退職所得扱いとなるため、受け取り時も税制優遇があります。資金繰りに困った場合は貸付制度を利用できる点も安心です。


倒産防止共済(経営セーフティ共済)

取引先が倒産した際に掛金の10倍まで貸付を受けられる制度ですが、節税面でも強力です。掛金は月5,000円〜20万円まで、年間240万円を上限として「全額損金」に算入できます。

最大800万円まで積み立て可能で、解約時には返戻金を受け取れるため、資金繰りと税務対策を両立できます。ただし解約するとその年の収入に計上されるため、将来の出口戦略を考えて利用する必要があります。


確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)

法人の場合は企業型DC、個人事業主はiDeCoを活用できます。掛金は全額所得控除となり、運用益も非課税。老後資金の準備と節税を同時に実現できます。

ただし、60歳まで引き出せないため資金繰りに余裕がある企業や個人向けです。決算期の利益圧縮と長期の資産形成を両立させたい場合に最適です。


法人保険の活用

法人保険は解約返戻金を伴うものが多く、節税と将来の資金準備に役立ちます。代表的なのは以下のタイプです。

  • 長期平準定期保険:安定的に返戻金が積み上がる
  • 逓増定期保険:返戻金が年数経過とともに大きくなる
  • 養老保険:満期時に返戻金を受け取れる

かつては「全額損金」の商品が主流でしたが、税制改正により現在は一部損金や資産計上が求められています。それでも退職金や事業承継の資金として活用できるため、決算対策の選択肢の一つです。


将来備え型の節税が重要な理由

これらの制度の大きな特徴は、「単なる節税にとどまらず、将来のリスクに備えられる」という点です。

  • 共済 → 廃業・倒産リスクに備える
  • iDeCo・DC → 老後資金に備える
  • 法人保険 → 退職金や事業承継に備える

一時的な利益圧縮だけでなく、長期的な資金計画を支える仕組みとして導入すれば、税務署にも説明がしやすく、経営上の安心材料にもなります。

資産形成につながる節税策

長期平準定期保険の活用

長期平準定期保険は、契約当初から返戻率が安定して積み上がるタイプの法人保険です。解約返戻金を将来の退職金や設備投資資金に充てることができ、掛金の一部を損金算入できます。

  • メリット:安定的な資金形成と退職金準備
  • デメリット:掛金が長期間固定されるため、途中解約では損をする可能性

税制上の扱いは商品によって異なるため、契約前にシミュレーションを行い、会社の資金計画に合うかを検討する必要があります。


逓増定期保険による将来資金準備

逓増(ていぞう)定期保険は、契約からの経過年数とともに保険金や解約返戻金が増加していくタイプです。創業期から成長期にかけて資金需要が高まる企業に適しており、退職金や事業承継の準備に活用されます。

  • 早期解約 → 返戻率が低く損失の可能性
  • 一定期間以降 → 高い返戻率でまとまった資金を確保できる

「決算対策+将来の大型資金確保」という二重のメリットを狙える一方で、税制改正の影響を強く受けやすいため、最新のルールに基づいて契約内容を確認することが欠かせません。


生命保険信託の活用

生命保険信託とは、死亡保険金を信託会社に託し、あらかじめ決めたルールに従って配分する仕組みです。事業承継や家族への資産承継に使えるだけでなく、税務上もスムーズに処理されやすいのが特徴です。

法人経営者の場合、「退職金兼死亡退職金」として保険金を設計すれば、遺族に対して非課税枠(500万円×法定相続人)を活用した承継が可能になります。


退職金積立の活用

役員や従業員の退職金を事前に積み立てておくことも、節税の有効な手段です。退職金は給与と異なり、税務上「退職所得控除」が適用されるため、受け取る側の税負担を軽くできます。

例えば、勤続20年の役員が退職する場合、800万円の退職所得控除が認められます。法人にとっては退職金の支給を損金算入でき、個人側は優遇税制で受け取れるため、双方にメリットがあります。


キャッシュを守る節税策

赤字繰越控除の活用

法人税法では、欠損金(赤字)を最長10年間繰り越して、翌年度以降の黒字と相殺できます。過去に赤字が出ている企業は、黒字が見込まれる年にこの制度を活用すれば、税負担を大幅に抑えられます。

注意点として、青色申告を行っていることが前提条件です。また、繰越欠損金を使う順序を誤ると損をする可能性があるため、会計処理を正確に行うことが重要です。


役員給与の見直し

役員給与は「定期同額給与」「事前確定届出給与」など、形式を守ることで損金算入が認められます。決算時に利益が出すぎている場合、来期からの役員報酬を増額しておけば節税効果を得られます。

ただし、期中での変更は原則認められないため、決算対策としては「翌期に備える」意味合いが強い点に注意しましょう。


賞与の損金算入

従業員への賞与は「支給日を決算期末までに確定」させることで損金算入できます。賞与引当金の計上ではなく、実際の支給日や金額を明確にする必要がある点がポイントです。

  • 決算期直前に支給 → 損金に算入可能
  • 社員のモチベーション向上にもつながる

賞与支給を計画的に行えば、節税と人材定着の両方に効果があります。


借入金利息の調整

金融機関からの借入金の利息は損金に算入できます。決算期前に借入の条件を見直し、金利負担を適切に調整することで節税と資金繰りの安定化を両立できます。

特に、返済スケジュールを変更して元本返済を抑え、利息部分を増やす方法はキャッシュアウトを抑えつつ、損金算入を増やせる手段として有効です。


節税アイデア20選のまとめ表

最後にここまで紹介した節税策を一覧で整理しておきます。

分類節税策
費用前倒し型交際費の活用 / 消耗品購入 / 修繕費計上 / 広告宣伝費前払い
税制優遇型経営強化税制 / 研究開発税制 / 青色申告特別控除 / 所得拡大促進税制
将来備え型小規模企業共済 / 倒産防止共済 / 確定拠出年金(iDeCo・DC) / 法人保険
資産形成型長期平準定期保険 / 逓増定期保険 / 生命保険信託 / 退職金積立
キャッシュ重視型赤字繰越控除 / 役員給与見直し / 賞与損金算入 / 借入金利息調整

節税を実践に移すためのステップ

1. 現状の利益と資金繰りを把握する

節税対策は「利益がどれくらい出ているか」「資金繰りにどの程度余裕があるか」によって選ぶ手法が変わります。まずは試算表を用いて、決算期末の利益予測と現預金残高を確認しましょう。

2. 優先度を決める

すべての節税策を同時に行うのは現実的ではありません。

  • 短期的に効果があるもの(消耗品購入、修繕費計上など)
  • 長期的に効果があるもの(共済、退職金準備、法人保険など)
    このように分類し、会社の経営状況に応じて優先度をつけて実行することが大切です。

3. 制度の条件を確認する

税制優遇は要件が細かく設定されています。例えば「経営強化税制」の場合は認定書が必要ですし、「青色申告特別控除」の場合は帳簿保存の形式が条件になります。申請や届出の有無を必ず確認しましょう。

4. 専門家に相談する

税務は毎年制度が変わるため、専門家に相談しながら進めるのが最も安全です。顧問税理士がいれば、試算を見ながら複数の節税案を比較し、最適な方法を選択できます。


節税対策を成功させるポイント

  • 短期的な節税と長期的な資金戦略を両立させる
    → その場しのぎではなく、数年後の資金計画につながる方法を選ぶ。
  • 「経費になるかどうか」よりも「事業に役立つか」を意識する
    → 不要な支出は節税にはなっても資金を減らすだけ。事業拡大や安定化に役立つ支出を選ぶ。
  • 出口戦略を考えて制度を利用する
    → 共済や法人保険などは解約時に収入になるため、将来の受け取り方まで設計しておく。
  • 毎年の決算前にチェックリスト化する
    → 毎年「この時期に確認すべき節税策」をリストにしておけば、抜け漏れを防げる。

決算対策は節税と経営強化のチャンス

決算対策での節税は単なる「税金を減らす作業」ではありません。

  • 経費をうまく活用して事業を改善する
  • 制度を利用して人材や設備に投資する
  • 将来に備えながら資金を守る

このように、節税策を正しく取り入れれば、結果として事業の安定や成長につながります。

「何となくお金を使う」節税はもう古い時代です。これからは「事業の未来を考えた節税」が求められます。今回紹介した20のアイデアの中から、自社の状況に合ったものを選び、ぜひ実践してみてください。

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