赤字決算でもできる節税対策5選|中小企業の資金繰りを改善する方法

「赤字決算でもできる節税対策5選」をテーマにしたアイキャッチ画像。電卓、コイン、損失グラフ、悩む経営者のイラストを薄いベージュ背景に配置。
目次

赤字でも節税は可能?経営者が抱える疑問

「赤字だから税金は払わなくていい」と考える経営者は少なくありません。確かに、法人税や所得税は利益に対して課税されるため、赤字決算では本税が発生しないケースが多いです。
しかし、実際には赤字でも住民税の均等割事業税の最低限の負担があり、ゼロにはなりません。また、将来の黒字に備えて今からできる節税策や、赤字の有効活用方法も存在します。

この記事では、**「赤字決算でもできる節税対策5選」**をわかりやすく解説し、今後の資金繰りや経営改善にもつながる実践的な知識を紹介します。


赤字経営でも税負担がゼロにならない理由

赤字であっても税負担が生じるのはなぜでしょうか?その仕組みを整理します。

法人税・所得税は利益ベース

  • 利益がマイナスなら、法人税や所得税は発生しない。
  • ただし欠損金として翌期以降に繰越控除できる(法人:最大10年、個人:青色申告で3年)。

赤字でも発生する税金や負担

  • 住民税の均等割:資本金や規模に応じて、赤字でも7万円〜数十万円。
  • 事業税の最低負担:一部地域では均等割に準ずる課税あり。
  • 社会保険料:従業員がいる場合は利益の有無に関わらず発生。

👉 赤字でも最低限の固定コストは発生するため、節税対策や資金繰りの改善が重要になります。


赤字決算でも取り組める節税の結論

結論として、赤字決算時に経営者が検討すべき節税対策は以下の5つです。

赤字決算でできる節税対策5選

  1. 欠損金の繰越控除を最大限活用する
  2. 役員給与や役員退職金の見直し・適正化
  3. 中小企業倒産防止共済や小規模企業共済の活用
  4. 固定資産の除却・評価損計上による資産整理
  5. 消費税還付や繰戻還付の申告を行う

これらを実践することで、赤字を「将来の節税効果」に変えることが可能です。
次章から、それぞれの理由と実践ポイントを深掘りしていきます。


欠損金の繰越控除で将来の黒字に備える

赤字の最大のメリットは「欠損金を翌期以降に繰り越せる」ことです。

繰越控除の基本

  • 法人:最大10年間繰越可能(青色申告必須)
  • 個人事業主:3年間繰越可能(青色申告必須)
  • 翌期以降の黒字と相殺することで、法人税や所得税を軽減

ポイント

  • 赤字決算を適切に申告しておくことが重要。
  • 青色申告を選択しなければ繰越控除は使えない。
  • 税務調査で否認されないよう、帳簿の整備が必須。

👉 「赤字は悪」ではなく、正しく処理すれば将来の節税資源になります。

役員給与と退職金の見直しで将来の税負担を軽減

赤字決算のときは「役員給与をどうするか」が重要な論点になります。

役員給与の取扱い

  • 法人の赤字決算では、役員給与を減額しても税務上の即時効果はない。
  • ただし、翌期以降の黒字を見込むなら役員給与を適正額に見直すことが重要。
  • 税務上認められる「定期同額給与」や「事前確定届出給与」のルールを守る必要あり。

役員退職金の検討

  • 赤字決算を利用して役員退職金を支給することも選択肢。
  • 退職金は損金算入でき、法人税の負担を圧縮できる。
  • 役員退職金は「功績倍率方式」で計算され、適正額なら否認されにくい。

👉 赤字期に役員報酬や退職金を調整しておくと、将来の税負担を平準化できる。


共済制度を利用して赤字でも節税効果を得る

赤字決算でも活用できるのが共済制度です。共済掛金は損金または必要経費に算入でき、資金繰りの調整弁としても役立ちます。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)

  • 掛金:月5,000円〜20万円(年間最大240万円まで)
  • 掛金は全額損金算入可能。
  • 赤字期でも損金処理され、将来解約すれば資金回収が可能。
  • 取引先倒産の際には貸付制度がある。

小規模企業共済

  • 掛金:月1,000円〜7万円まで。
  • 個人事業主や役員でも加入可能。
  • 掛金は全額所得控除。
  • 将来の退職金・廃業時の資金として活用できる。

メリットと注意点

  • メリット:赤字でも税務上の効果がある、長期的に資金を積み立てられる。
  • 注意点:解約時は課税されるため、受け取りのタイミングを計画する必要がある。

👉 赤字期にはキャッシュを減らさずに節税できる数少ない手段のひとつ。


赤字決算での資金繰りと共済活用の比較表

節税策節税効果資金繰りへの影響向いている事業者
倒産防止共済掛金全額損金算入一時的にキャッシュアウト法人・赤字でも資金余力がある会社
小規模企業共済掛金全額所得控除キャッシュが拘束される個人事業主や役員の退職金準備
役員退職金損金算入可能大きな資金流出長期在任の役員がいる法人

👉 赤字決算でも、将来を見据えた制度活用で「節税+福利厚生」を両立可能です。

固定資産の除却・評価損で資産を整理する

赤字決算のときは、普段見直しが後回しになりがちな「固定資産の棚卸し」を行うチャンスです。

除却損の計上

  • すでに使用していない機械や設備を廃棄すれば、その簿価を除却損として損金算入可能。
  • 実際の廃棄が必要であり、帳簿上だけの処理は不可。
  • 赤字期に処理すれば、翌期以降の黒字に繰り越す欠損金を増やせる。

評価損の計上

  • 破損・陳腐化した資産は「評価損」を計上できる場合がある。
  • 例:不良在庫、売れ残った製品、著しく価値が下落した資産。
  • 税務上認められる要件を満たせば、赤字期に損金算入可能。

👉 赤字の間に固定資産の棚卸しを行うことで、帳簿をスリム化しつつ将来の利益に備えることができます。


繰戻還付制度で過去の法人税を取り戻す

赤字決算だからこそ検討できるのが「欠損金の繰戻還付制度」です。

繰戻還付とは?

  • 法人が赤字(欠損金)になった場合、過去1年間に支払った法人税を還付してもらえる制度
  • 赤字を前期の黒字と相殺し、払いすぎた法人税を取り戻す仕組み。

制度のポイント

  • 対象:中小企業等(資本金1億円以下の法人など)。
  • 還付できる欠損金:当期の赤字額の範囲で、前期に支払った法人税額が上限。
  • 手続き:確定申告書に「欠損金の繰戻還付請求書」を添付する。

メリットと注意点

  • メリット:キャッシュフローを改善できる。
  • 注意点:繰越控除を選んだ方が有利な場合もあるため、将来の黒字予測と比較検討が必要。

👉 繰戻還付は「赤字決算だからこそできる節税」と言える強力な制度です。


消費税還付を利用できるケースもある

法人税だけでなく、場合によっては消費税の還付も検討できます。

還付が生じやすいケース

  • 輸出取引(消費税は非課税だが仕入税額控除は受けられるため還付が発生)。
  • 設備投資を行った場合(多額の仕入税額控除が発生するため還付になる可能性)。

注意点

  • 還付を受けるためには「課税事業者」である必要がある。
  • 消費税還付目的での形だけの取引は税務調査で否認されるリスクがある。

👉 赤字期に還付を受けられれば、資金繰りの改善に大きく貢献します。

赤字決算だからこそ検討すべき節税対策5選まとめ

ここまで見てきたように、赤字決算であっても活用できる節税の方法は数多く存在します。

5つのポイントを振り返ると

  1. 欠損金の繰越控除
    将来の黒字と相殺できるため、赤字期にしっかり申告しておくことが大切。
  2. 役員給与や賞与の見直し
    来期以降の利益調整や、役員退職金制度の活用を視野に入れる。
  3. 固定資産の除却・評価損
    不要資産を整理し、帳簿をスリム化。赤字期に損失計上して将来の税負担を減らす。
  4. 欠損金の繰戻還付制度
    過去に納めた法人税を取り戻すことで、資金繰りを改善できる。
  5. 消費税還付
    輸出取引や大規模投資がある場合、消費税の還付によってキャッシュを確保できる。

👉 赤字は「無駄な状態」ではなく、将来の黒字に備える節税チャンスと考えるべきです。


経営者が取るべき次のステップ

最後に、この記事を読んだ経営者が実際に行動できるステップを整理します。

1. 現状を棚卸しする

  • 決算書を見直し、赤字の原因と資産の状況を把握する。
  • 不要資産や在庫を確認し、除却や評価損の対象を探す。

2. 将来の利益予測を立てる

  • 来期以降の収益計画を作り、繰越控除と繰戻還付のどちらが有利か検討する。

3. 税理士と相談する

  • 節税対策は制度の条件や適用可否が複雑なため、専門家に確認するのがベスト。
  • 特に繰戻還付や消費税還付は、適用要件や書類の不備で否認されるリスクがある。

4. キャッシュフローを改善する

  • 還付を受けられる制度はすぐに申請し、資金繰りを安定させる。
  • 赤字期にこそ「攻めの投資」と「守りの資金対策」を両立させる。

まとめ

赤字決算は一見マイナスに見えますが、視点を変えれば大きな節税のチャンスです。
繰越控除や繰戻還付を駆使すれば将来の黒字に備えられますし、固定資産整理や消費税還付を通じて現金を確保することも可能です。

重要なのは、赤字を「ただの損失」で終わらせず、未来につなげる戦略的な節税を行うこと
この考え方を持つことで、企業の財務体質を強化し、次の成長ステージに進む準備が整います。

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