設備投資で節税!中小企業経営強化税制の活用法と手順

設備投資による節税と中小企業経営強化税制の活用を表現したベージュ基調の親しみやすいイラスト
目次

設備投資は節税にもなる経営戦略

中小企業にとって設備投資は、事業成長のためだけでなく、節税効果を狙える重要な手段です。
その中でも特に注目されているのが中小企業経営強化税制です。

この制度を活用すれば、新しい機械や設備を導入したときに「即時償却」や「税額控除」が認められ、納税額を大きく減らすことができます。
しかし、制度の適用には対象要件や期限があり、事前の計画が不可欠です。


節税効果を最大化するには制度の理解が必須

多くの経営者が「設備を買えば節税できる」と考えていますが、実際はそう単純ではありません。
中小企業経営強化税制を利用するには、対象資産や取得時期、認定手続きなどを満たす必要があります。

制度のポイントを押さえずに進めると、以下のようなリスクが発生します。

  • 制度対象外の設備を購入してしまう
     → 償却特例や税額控除が受けられない
  • 必要な申請や認定を忘れる
     → 適用期限を過ぎてしまい通常の償却扱いになる
  • 資金繰りが悪化する
     → 税金は減ってもキャッシュアウトは即時発生

つまり、節税効果を最大化するためには、制度の内容を理解し、計画的に設備投資を行うことが重要です。


中小企業経営強化税制の概要

制度の目的

中小企業経営強化税制は、中小企業の生産性向上や競争力強化を支援するために、一定の設備投資に対して特別な税制優遇を行う制度です。
新たな機械やシステム導入によって業務効率を高める企業を後押しします。

優遇措置の種類

  1. 即時償却
     取得した設備の取得価額全額をその年の経費として計上可能。
     → 利益を圧縮し、その年の法人税や所得税を大幅に削減できる。
  2. 税額控除
     取得価額の一定割合(最大10%)を税額から直接控除。
     → 翌期以降の利益見込みがある場合に有効。

制度を活用できる企業の要件

  • 資本金1億円以下の法人または常時使用従業員1,000人以下の個人事業主
  • 青色申告を行っていること
  • 経営力向上計画を国の認定機関に提出し、認定を受けていること

対象となる設備の種類

設備の種類要件
機械装置1台160万円以上生産ライン機械、製造ロボット
測定工具・検査工具1台120万円以上検査装置、精密測定機
器具備品1台120万円以上POSレジ、業務用冷蔵庫
建物附属設備1台60万円以上空調設備、LED照明
ソフトウェア70万円以上生産管理システム、会計ソフト

優遇措置の選び方(即時償却 vs 税額控除)

  • 即時償却は、その年の利益を圧縮したい場合に有効。
     → 黒字が大きく出る年度に向いている。
  • 税額控除は、翌期以降も利益が出る見込みがある場合に有効。
     → 今期は赤字、または利益が少ない場合に向いている。

節税効果の具体的シミュレーション

ここでは、中小企業経営強化税制を利用した場合と利用しない場合の節税額の差を具体的に見てみます。

シナリオ

  • 法人(資本金3,000万円、青色申告)
  • 当期利益:2,000万円
  • 導入設備:製造機械(取得価額1,000万円)
  • 法人税率(地方税含む概算):30%

通常の減価償却(耐用年数10年・定額法)

  • 1年目償却額:100万円
  • 1年目経費増加による節税額:100万円 × 30% = 30万円

即時償却を利用した場合

  • 1年目償却額:1,000万円
  • 1年目節税額:1,000万円 × 30% = 300万円

差額:270万円の節税効果
→ 設備導入の年に利益圧縮効果が大きく、納税額を大幅に抑えられる。


制度活用の成功事例

事例1:製造業の生産ライン刷新

  • 内容:老朽化した生産設備を最新機械に更新。
  • 結果:即時償却で税負担を軽減しつつ、生産効率が20%向上。
  • ポイント:導入前に税理士と相談し、経営力向上計画の認定を期限内に取得。

事例2:飲食業のPOSレジ導入

  • 内容:レジを最新POSシステムに入れ替え。
  • 結果:税額控除を選択し、翌年度以降の黒字見込みに合わせて節税を実現。
  • ポイント:補助金との併用で実質負担を抑えた。

事例3:建設業の測定器更新

  • 内容:高精度測量機器の導入。
  • 結果:即時償却で当期の利益を圧縮し、資金繰りの安定化に成功。
  • ポイント:必要書類の事前準備と納期調整を徹底。

制度適用のための行動ステップ

ステップ1:設備投資計画の立案

  • 来期以降の売上・利益予測と合わせて設備投資の必要性を検討。
  • 補助金や助成金との併用可否も確認。

ステップ2:対象設備かどうかの確認

  • 金額要件や用途要件を満たすかをメーカーや販売店に確認。
  • 見積書の段階で「中小企業経営強化税制対象」である旨を明記してもらう。

ステップ3:経営力向上計画の作成・申請

  • 認定支援機関(税理士・商工会議所など)と協力して作成。
  • 設備取得前に国の認定を受けることが必須。

ステップ4:設備の取得・支払

  • 認定後に正式発注・納品・支払を行う。
  • 納品日と支払日の管理を徹底。

ステップ5:確定申告時の特例適用

  • 償却方法や税額控除の適用を申告書に反映。
  • 必要な証明書類を添付。

制度活用の注意点

  • 認定手続きは取得前に完了していないと特例が使えない。
  • 即時償却を選ぶと翌期以降の減価償却がなくなるため、長期的な利益計画も考慮する。
  • 補助金との併用は可能だが、補助金額は取得価額から控除して計算する必要あり。

まとめ

  • 中小企業経営強化税制は、設備投資と節税を同時に実現できる有力な制度。
  • 即時償却と税額控除のどちらを選ぶかは、当期・来期の利益予測に応じて判断。
  • 適用には対象要件・申請手続き・期限管理が重要。
  • 専門家と連携し、事前準備を行うことで節税効果を最大化できる。

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