法人が加入すべき保険とは?種類別メリットを紹介

スーツ姿のビジネスマンが「法人が加入すべき保険とは?」という見出しを背景に指を立てて解説しているアニメ風イラスト。企業・社員・保険・円マークなどの保険関連アイコンが配置されている。

会社経営と保険の関係とは?

法人を経営する上で、利益の最大化や従業員の雇用、財務の健全化は重要なミッションです。しかし、それと同じくらい重要なのが”リスクマネジメント”。中でも、万が一の備えとして有効なのが法人保険です。

「そもそも法人が保険に入る意味は?」「節税になるって聞いたけど本当?」「どの種類を選べばいい?」

こうした疑問を抱える経営者の方は多いはず。本記事では、法人が加入すべき保険の種類とそのメリットを、iPREPの構成に沿ってわかりやすく解説します。


保険に入らないリスクと加入しすぎのリスク

経営において、法人保険に無関心でいるのは大きなリスクです。たとえば、代表者の突然の死亡や大病、従業員の労災事故、損害賠償請求といった事態が起これば、会社の財務や継続性に深刻なダメージを与えかねません。

一方で、目的を明確にせずに多くの保険に加入してしまうと、毎年の保険料が経営を圧迫し、”入っているだけ”の状態に陥ることもあります。

つまり、”必要な保険を、必要な理由で選ぶ”ことが法人経営における正しい保険活用と言えるでしょう。


法人保険は「リスクヘッジ」と「財務戦略」の両面に役立つ

法人保険は、経営上の突発的なリスクから会社を守ると同時に、資金の積立や税務対策としても有効です。具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • 代表者や従業員に万が一があった際の保障
  • 福利厚生としての保険加入で採用力アップ
  • 積立機能を活用した退職金準備
  • 一定の条件下での節税対策(損金算入)

これらの機能を踏まえたうえで、会社の規模や経営目的に合わせた保険選びが重要となります。


目次

法人が検討すべき主な保険の種類と特徴

1. 生命保険(定期・終身・養老型)

● 目的:経営者・役員に万が一があった場合の保障

  • 定期保険:一定期間の死亡保障が目的。保険料は安価。
  • 終身保険:一生涯の保障と一定の積立性を持つ。
  • 養老保険:保障と貯蓄を兼ねた商品。満期返戻金あり。

● メリット:

  • 事業承継・死亡退職金準備に活用
  • 節税スキームとして活用(旧定期保険等)

2. 医療・がん保険

● 目的:経営者・従業員の入院・治療に備える

  • 医療保険:入院・手術費用を保障
  • がん保険:がんに特化した保障と通院カバー

● メリット:

  • 福利厚生としての従業員満足度向上
  • 代表者の万一に備えた事業継続性の確保

3. 傷害保険・労災上乗せ保険

● 目的:業務中や通勤中のケガなどに備える

  • 業務災害補償保険(労災の上乗せ):政府労災だけでは足りない補償を補完

● メリット:

  • 従業員への補償体制を強化できる
  • 訴訟リスクに備える「使用者賠償責任補償」付きプランも

4. 退職金準備型保険(長期平準定期、逓増定期など)

● 目的:役員や従業員の退職金準備・福利厚生積立

  • 長期平準定期:保険料払込が長期にわたる。死亡保障+積立性
  • 逓増定期保険:年々保障額が増える。中小企業での資金対策に適する

● メリット:

  • 節税と退職金準備を両立
  • 解約返戻金を利用したキャッシュフロー調整も可能

法人保険の活用事例:現場でどう使われているのか?

ケース①:社長の万が一に備えて「役員生命保険」

東京都の建設会社A社では、万が一に備えて**経営者にかける定期保険(定期死亡保険)**に加入。会社が契約者・保険料負担者となり、被保険者は社長、受取人は法人。

目的:
・急逝時の事業継続資金(運転資金)
・借入金の返済
・後継者が決まるまでの資金確保

結果:
社長が倒れた際、保険金1億円が会社に支払われたことで、経営破綻を免れた。


ケース②:従業員の福利厚生として「養老保険」を導入

広告業のB社では、**福利厚生目的の養老保険(福利厚生プラン)**を導入。
一定期間後に満期金があり、退職金原資として活用できる。

目的:
・人材定着のための退職金制度
・税務上は一定条件を満たすと保険料が損金算入可能(福利厚生費)

結果:
従業員満足度が向上し、優秀な人材の定着率が改善。


ケース③:退職慰労金のために「逓増定期保険」を活用

設立10年の製造業C社は、将来の社長退任に向けて逓増定期保険で退職慰労金の原資を準備。

目的:
・退任時に退職金を税効率良く支払う
・保険料を損金にしつつ、退職時に解約返戻金を活用

結果:
役員退職金支給に向けて計画的に準備ができた。税務調整もしやすくなった。


法人保険の選び方|目的別に整理しよう

法人保険を導入する際は、目的を明確にすることが最重要です。以下の観点で整理してみましょう。

目的選ばれる保険タイプポイント
経営者の万が一に備える定期保険、逓増定期保険保険金の法人受取で損金処理が可能な設計に注意
従業員の福利厚生養老保険、団体定期保険一定条件下で損金算入。退職金や慶弔金にも利用可能
退職金や役員退任の備え逓増定期保険、長期平準定期保険解約返戻金の推移をシミュレーションして設計
借入金対策定期保険(債務保証型)万一の際、金融機関に対して保険金で返済が可能
事業承継の資金確保養老保険、長期平準定期保険オーナー交代時に保険金を原資に株式買い取りも検討できる

法人保険の比較ポイント|導入前にチェックすべき4つの軸

① 保険料の損金性

保険によって「全額損金」「1/2損金」「資産計上」など処理方法が異なるため、税理士との相談が必須

② 解約返戻率の推移

途中解約すると「元本割れ」する保険も多く、資金計画とのバランスが重要。

③ 保障内容(死亡保障・医療保障など)

同じ「定期保険」でも、保障範囲や金額、期間によって大きく異なる。
契約目的に合っているか?がカギ。

④ 税務調査リスク

かつて法人保険は節税スキームとして活用されすぎたため、国税庁は2019年の通達改正で損金計上制限を強化。現行制度に対応している設計が必要。


法人保険に加入する際の注意点

  • 目的なき加入はNG:「とりあえず節税になる」と営業されるケースは要注意
  • 返戻金だけを目的にしない:一時期の損金性より、資金計画や事業継続との整合性が大切
  • 会計処理が複雑な保険も多い:月次決算や税務申告でミスを招かないよう、契約時に会計士・税理士と相談を

保険金受取時の税務処理と出口戦略

法人保険の最大の特徴の一つが、保険料支払時・保険金受取時の会計・税務処理です。節税のつもりで加入したのに、思わぬ税負担が発生することもあるため、出口まで見据えた設計が重要です。

法人が保険金を受け取る場合の税務処理

受取人税務上の扱い留意点
法人益金に算入(収益)解約返戻金も含めて益金として課税対象に
被保険者の遺族非課税(死亡保険金等)個人受取の場合は相続税の対象になる可能性あり

解約返戻金の受取タイミングと課税

  • 退職金と同時に支給 → 役員退職慰労金の原資として活用可能
  • 解約益が出る場合は、一時所得 or 法人の益金処理となり、法人税負担が生じる
  • 保険の種類・契約形態により税務処理が異なるため、税理士への相談が必須

実際に法人保険を導入する際のステップ

ステップ①:目的を明確にする

まずは、「なぜ保険に入りたいのか?」を明確にしましょう。節税だけでなく、事業リスク対策、従業員満足、事業承継など目的を定めることが、最適な保険選びの第一歩です。

ステップ②:制度に詳しい保険代理店・税理士に相談する

最近では、税制改正に対応していない古いスキームで勧誘されるケースもあります。法人保険に詳しいFP・税理士と組んで比較検討することが大切です。

ステップ③:キャッシュフロー・税務面のシミュレーションを行う

  • 年間保険料のインパクト
  • 解約返戻率の推移
  • 万一のときの保険金用途
    これらをすべて数値で試算し、現実的な資金計画と整合させておきましょう。

まとめ:法人保険は“目的と設計次第”で資産にもリスクにもなる

法人保険は、うまく活用すれば「退職金準備」「経営リスクヘッジ」「福利厚生」「節税」の一石四鳥になります。
しかしその反面、「目的なき加入」や「税務知識の不足」によって、逆にリスクを抱えることにもなりかねません。

法人保険導入の鉄則

  • 加入目的を明確にする(節税だけを目的にしない)
  • 現行税制に合った商品設計をする
  • 税理士・FPと必ず相談する
  • 保険料の支払・解約時期もシミュレーションする

経営者自身と、会社・従業員の未来を守る備えとして、賢く・計画的に法人保険を活用していきましょう。

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