節税につながる固定資産の購入タイミングと計画の立て方

節税につながる固定資産の購入タイミングをテーマにしたイラスト。カレンダー、トラック、コイン、上昇グラフが描かれている。
目次

固定資産購入で節税を狙う経営者が増えている背景

固定資産の購入は、事業の成長や効率化に直結する重要な投資です。しかし同時に、購入時期によって税負担が大きく変わるため、「どうせ買うなら節税効果が高いタイミングで」という考えを持つ経営者は少なくありません。特に年末や決算前には、車両・機械・パソコンなどの購入を検討する企業が急増します。

ただし、単に「年度末に買えば節税になる」という単純な話ではなく、減価償却や特別償却、税制優遇措置、資金繰りなど複数の要素を踏まえた計画が必要です。


購入時期を誤ると節税効果が半減する理由

固定資産の購入による節税は、多くの場合「減価償却費」として費用計上されることによって生じます。しかし、購入時期が遅すぎたり早すぎたりすると、当期に計上できる減価償却費が想定より少なくなり、結果として節税効果が薄くなることがあります。

たとえば、決算月の末日に購入しても、減価償却費は日割り計算となるため、ほとんど費用計上できないケースがあります。逆に、早く買いすぎると資金繰りに負担を与え、不要なキャッシュアウトにつながることもあります。


節税効果を最大化する購入タイミングの考え方

節税目的での固定資産購入のタイミングを判断する際は、次の3つの要素を考慮する必要があります。

  1. 減価償却の開始時期
    資産を使用開始した日から償却が始まるため、使用開始のタイミングが遅れると初年度の償却費が減ります。
  2. 特別償却・即時償却制度の適用期間
    中小企業経営強化税制や生産性向上設備投資促進税制などは、対象期間が限定されているため、その期間内に取得・稼働が必要です。
  3. 資金繰りとのバランス
    節税効果が大きくても、資金繰りを悪化させてしまっては本末転倒です。税負担の軽減とキャッシュフローの安定を両立する計画が不可欠です。

減価償却と購入時期の関係

減価償却費の日割り計算

固定資産は取得価額を耐用年数に応じて分割して費用計上します。初年度は使用開始月に応じて月割り計算(法人税法上は月単位)が行われるため、購入が遅いと初年度の費用計上額は少なくなります。

例:耐用年数5年・定額法・取得価額100万円の場合

使用開始月初年度の償却月数初年度償却費
4月9か月約15万円
12月3か月約5万円

このように、同じ年度内でも購入時期によって初年度の償却費に大きな差が生じます。


税制優遇措置と購入タイミング

中小企業経営強化税制の活用

中小企業経営強化税制では、一定の設備投資に対して即時償却または税額控除が認められます。ただし、この制度は申請期限や取得期限が明確に定められているため、購入タイミングを逃すと適用できなくなります。

対象設備の例

  • 生産性向上に資する機械装置
  • 効率化を目的とした測定工具・検査機器
  • ICT関連設備(サーバー、専用ソフトなど)

制度適用には、事前申請や証明書の取得が必要になるため、購入前から税理士や設備メーカーと連携してスケジュールを組むことが重要です。


他の税制優遇措置と購入タイミングの比較

少額減価償却資産の特例(30万円未満)

中小企業や個人事業主であれば、取得価額が30万円未満の資産は、条件を満たせば全額をその年の経費として計上できます(少額減価償却資産の特例)。
この制度を活用する場合は、年度末に近づいてからまとめて備品を購入すると、その年の利益圧縮に直結します。

注意点

  • 年間の合計額が300万円までという上限がある
  • あくまで「事業用」の資産であることが前提

中小企業投資促進税制

この制度では、生産性向上や省エネに資する設備を取得した場合、通常の減価償却に加えて特別償却や税額控除が可能です。こちらも取得期限があるため、期限の数か月前から準備を始める必要があります。


省エネ設備導入補助金との併用

固定資産購入の節税は、税額控除だけでなく、自治体や国の補助金制度と併用できるケースがあります。
補助金は申請から採択まで数か月かかる場合が多く、資産の取得タイミングに直接影響します。


資金繰りと節税効果のバランス

節税目的で固定資産を購入する際、最も陥りやすい失敗が「節税額よりも資金流出の方が大きくなる」ケースです。
たとえば、100万円の機械を購入して30万円の節税になったとしても、実際には70万円の資金が減ることになります。

判断ポイント

  • 今期の利益と納税予定額
  • 現金預金残高と運転資金の必要額
  • 今後の売上見通し

資金繰りが厳しい場合は、節税額よりも手元資金の確保を優先すべきです。


実際の購入タイミング別シミュレーション

以下は、決算月が3月の企業が300万円の機械を購入した場合の節税効果比較です(耐用年数10年・定額法・中小企業経営強化税制による即時償却なしの場合)。

購入時期初年度の償却月数初年度償却費税率30%の場合の節税額
4月購入12か月30万円9万円
12月購入4か月10万円3万円
翌4月購入12か月(翌期)翌期に30万円初年度は0円

この表からも分かるように、同じ年度内でも購入時期で節税額が3倍近く変わることがあります。


ケーススタディ:年末に駆け込み購入した結果…

ある製造業A社は、3月決算の年末(12月末)に最新の工作機械を1,000万円で購入しました。
目的は節税でしたが、以下の問題が発生しました。

  • 初年度償却費が4か月分しか計上できず、節税効果は想定の半分以下
  • 機械の納品が遅れ、実際の稼働は翌年度から
  • 現金流出が大きく、翌年の資金繰りが悪化

教訓:節税だけを目的に急いで購入すると、資金繰りや運用計画に悪影響を与えることがあります。

節税効果を最大化する購入計画の立て方

1. 決算期から逆算して計画を立てる

固定資産の購入は、決算期の3~6か月前から検討を始めると、納品や設置の遅延リスクを回避できます。
特に、特殊な機械や輸入品は納期が長くなりやすいため、早めの発注が必須です。


2. 節税額と資金流出額を試算する

節税額だけを見るのではなく、実際に手元から出ていく資金とのバランスを試算しましょう。

簡易計算式

節税額 = 初年度償却費 × 法人税等の実効税率
資金流出額 = 購入額 − 補助金・助成金額

3. 他の税制や補助金制度を調査

固定資産購入に関連する制度例:

  • 中小企業経営強化税制(即時償却・税額控除)
  • 少額減価償却資産の特例(30万円未満)
  • 地方自治体の補助金・助成金(省エネ設備導入など)

制度の期限や申請条件を事前に確認することが重要です。


税理士との連携ポイント

  • 購入予定時期と金額を事前共有
    購入が決算直前かどうかで経理処理が変わるため、早めの相談が必要です。
  • 減価償却方法の選択
    定額法と定率法では初年度の経費計上額が異なるため、事業計画に合わせて選択します。
  • 税制適用の可否確認
    制度要件を満たすかどうかを専門家にチェックしてもらいます。

行動に移すためのチェックリスト

チェック項目実施時期実施状況
購入目的の明確化決算期6か月前
利益見込みと納税額の試算決算期4か月前
購入資産の候補選定決算期4か月前
補助金・税制の調査決算期3か月前
納期・設置日程の確認決算期2か月前
税理士との最終確認決算期1か月前

まとめ

固定資産の購入タイミングは、節税効果と資金繰りの両方に大きな影響を与えます。
購入時期を数か月ずらすだけで、初年度の経費計上額や節税効果が大きく変わるため、
**「早めの計画」と「税理士との連携」**が成功の鍵です。

特に、即時償却や税額控除などの税制優遇制度は期限があるため、情報収集を怠らず、
制度終了前に購入計画を立てることが重要です。

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