個人事業主がすぐできる節税対策10選|今から実践できる賢い方法とは?

ノートパソコンを前に節税対策を考える個人事業主の若い男性。背景には「経費」「青色申告」「小規模企業共済」のアイコンが並び、「個人事業主がすぐできる節税対策10選」と書かれた明るいアニメ風のイラスト。
目次

利益が出たのに、税金で手元に残らない?そんな悩みに答えます。

「思ったよりも利益が出たのに、税金でごっそり持っていかれた…」
そんな経験をした個人事業主やフリーランスの方は少なくありません。

税金は「利益が出てから考える」ではなく、「利益が出る前から対策しておく」ことで、合法的に減らすことができます。しかも、中には今日からでもすぐできる節税対策もあるのです。

本記事では、税理士の視点から「すぐできる・実践しやすい・税務署にも安心して説明できる」節税対策を10個厳選してご紹介します。


節税の知識がないと、無駄に税金を払いすぎる?

節税対策をしていないと、事業所得がそのまま課税対象となり、最大で50%近くの税負担(所得税+住民税+国保+消費税)が発生することもあります。

実は、税金の知識がないだけで毎年何十万円〜百万円単位で損をしている個人事業主は珍しくありません。

しかし、節税は「裏ワザ」ではなく、「制度を正しく活用する工夫」です。
そして、多くの対策は帳簿をしっかり付けて、支出を整理することから始まります


まずは、効果が高くて即実行できる3つの節税から始めよう

以下に紹介する3つの節税対策は、どれも「今すぐできて」「税務署にも説明可能な」方法です。

  • 対策① 経費の見直しと計上漏れ防止
  • 対策② 青色申告の活用と65万円控除
  • 対策③ 小規模企業共済の活用

順番に詳しく見ていきましょう。


対策① 経費の見直しと計上漏れ防止

経費をしっかり計上するだけで課税所得を大きく減らせる

「売上 − 経費 = 所得」が課税対象となるため、経費を正しく計上すれば、その分課税所得を減らすことができます。
特に、**事業とプライベートが混在しがちな個人事業主は「経費の取りこぼし」**が非常に多いです。

見落としがちな経費の例

  • スマホ代や通信費(使用割合に応じて按分)
  • 自宅兼事務所の家賃・光熱費(按分)
  • 書籍・資料・サブスク・研修費
  • 銀行手数料・クラウド会計ソフト利用料
  • 打ち合わせ時のカフェ代(業務関連性が明確なら)

毎月1回、経費の棚卸しをしよう

  • 月初に「前月分の経費」を一覧でチェック
  • 領収書・レシートはスマホで撮影しクラウド保存
  • freeeやマネーフォワードなどを活用して自動仕訳を活用するのも有効です

対策② 青色申告の活用と65万円控除

青色申告にするだけで年間65万円の所得控除が使える

青色申告とは、一定の帳簿を備えて税務署に届け出ることで、所得控除や赤字の繰越などの特典が受けられる制度です。

一番大きな特典が「青色申告特別控除:最大65万円」で、これだけで約10万円以上の節税になることもあります。

控除額の節税効果(目安)

  • 所得税・住民税の合計税率が20%の人
    → 65万円 × 20% = 約13万円の節税
  • 赤字になった場合も最大3年間繰越可能(黒字と相殺できる)

開業届と青色申告承認申請書を税務署に出す

  • 開業から2ヶ月以内 or 毎年3月15日までが申請期限
  • 会計ソフトを使えば複式簿記も簡単(freeeや弥生などがおすすめ)
  • 青色事業専従者給与制度も併用すると家族への給与も経費計上可能

対策③ 小規模企業共済の活用

掛金が全額所得控除、将来の退職金代わりにもなる

小規模企業共済は、個人事業主や小規模法人の経営者向けの「退職金制度」であり、掛金は全額が所得控除の対象です。

つまり、「将来の備えをしながら、今すぐ節税できる」一石二鳥の制度です。

掛金と節税効果の目安

  • 毎月5万円の掛金(年60万円)
    → 年収500万円の事業主で約12〜18万円の節税効果
  • 事業廃止時などに共済金として一括受取も可能(退職金扱いで税制優遇あり)

中小機構または金融機関経由で申込、クレジットカード払いも可

  • 掛金月1,000円〜70,000円の範囲で選べる
  • 1年分前納や一部減額も可能
  • 個人事業主は屋号と印鑑があれば申込可能(簡単)

対策④:家族への給与支払いと専従者控除(青色事業専従者給与)

家族に仕事を手伝ってもらって給与を払えば、その分を経費にできる

個人事業主が家族に対して仕事を手伝ってもらい、対価として給与を支払うことで、その給与を「経費」として計上できます。
ただし、「青色申告専従者給与」として税務署に届出が必要で、手続きと実態が伴っていれば合法的に大きな節税が可能です。

月10万円を配偶者に支払った場合

  • 年間120万円が経費扱い
  • 所得税率20%なら、約24万円の節税効果
  • 受け取る家族の所得が基礎控除以下(48万円)なら、所得税は非課税

届出書の提出と給与支払いの実態づくり

  • 開業届+青色申告承認申請+青色専従者給与に関する届出が必要(3点セット)
  • 事業への従事実績(日報・出勤簿・振込履歴など)を記録しておく
  • 年末調整・法定調書の提出も忘れずに(源泉徴収義務あり)

対策⑤:事業用資産の減価償却を活用する

高額な設備・備品は一括経費にできないが、分割して節税できる

事業に使う10万円以上のパソコンやカメラなどの「固定資産」は、原則として一括で経費にできません
しかし、「減価償却」という制度により、毎年少しずつ経費化することで節税につなげることが可能です。

また、小規模事業者には「30万円未満の資産は一括償却できる特例(少額減価償却資産の特例)」もあります。

20万円のノートパソコンを購入した場合

  • 通常:法定耐用年数4年で5万円ずつ計上
  • 特例を活用:30万円未満なので、一括で20万円を当期の経費にできる
  • 所得税率20%なら、4万円の節税

30万円未満の資産は「一括経費」扱いで会計処理

  • 資産台帳に登録し、適切に管理
  • 領収書をしっかり保管(証拠として重要)
  • 決算前に必要な資産を購入して「前倒し経費化」も検討

対策⑥:ふるさと納税の活用

住民税の一部を控除できて、お礼の品ももらえるお得な制度

ふるさと納税は、任意の自治体に寄附をすることで、所得税と住民税の控除が受けられる制度です。
本来は「節税」ではなく「税の使い道を自分で選べる制度」ですが、実質自己負担2,000円で返礼品(お肉・お米・家電など)も受け取れるため、実質的には節税+物品受取として人気です。

年収500万円のフリーランスの場合

  • 控除上限額:約6~7万円
  • ふるさと納税で6万円寄附 → 翌年の住民税・所得税から58,000円控除
  • 高級牛肉や特産品を実質2,000円で入手可能

12月31日までに寄附、ワンストップ特例 or 確定申告

  • 5自治体以内なら「ワンストップ特例申請」で確定申告不要
  • 6自治体以上または事業所得がある人は確定申告必須
  • 寄附金受領証明書は保管義務があるため保管

対策⑦:生命保険料・地震保険料などの所得控除を漏れなく使う

所得控除の積み重ねが、課税所得の圧縮に繋がる

国が認める各種「所得控除」を活用することで、課税所得を下げられます。中でも、保険料控除は利用者が多く、すぐに実行できる節税策のひとつです。

  • 生命保険料控除:最大12万円
  • 地震保険料控除:最大5万円

これらは個人事業主でも利用でき、支払った保険料を証明するだけでOKです。

年間10万円の保険料を支払っていた場合

  • 生命保険料控除+地震保険料控除を適用
  • 所得税率20%なら、最大3万円程度の節税可能
  • 保険会社から送られる「控除証明書」が必要

毎年秋に届く保険料控除証明書を保管しておく

  • 控除証明書は10月〜11月に郵送される
  • 確定申告で控除額を入力し、証明書を添付または提出
  • 未加入の方は控除対象保険を検討して加入してもよい

対策⑧:決算前にできる支出の前倒しで節税

翌年にかかる支出を今年に前倒しすれば、その分今年の経費になる

売上が好調だった年は、「税金が高くなりそう」と感じるかもしれません。
その場合は、来年の経費になる予定の支出を決算前に前倒しして支払うことで、今年の経費にできます。

これにより、当期の課税所得を圧縮でき、税額も抑えられます。

クラウド会計ソフトの年払いを年内に実施

  • 翌年1月に更新予定だった年額利用料(3万円)を12月に支払い
    → その3万円を今年の経費として計上可能
  • オンラインストレージ・サブスク・文房具・広告費なども対象

12月中に「経費になる支出」をリストアップして早めに支払う

  • 決算前の11〜12月に「必要経費の前倒し支払い計画」を立てる
  • 消耗品は10万円未満のものを中心に購入(少額資産特例の範囲内)
  • 「税額シミュレーション」と「現金残高」も併せて確認するのが重要

対策⑨:インボイス制度と課税・免税の見極め

課税事業者になると消費税の申告義務が発生するため、免税のままでいる方が有利なケースもある

2023年10月から開始されたインボイス制度により、売上が年間1,000万円以下の個人事業主であっても、取引先から課税事業者を求められるケースが増えています。

しかし、課税事業者になると、消費税の納税義務が発生します。
免税事業者のままなら、売上に含まれる消費税を納める必要がないため、その分手元に残る金額が多くなる場合も。

年商900万円・経費少なめのクリエイターの場合

  • 課税事業者になると年間70万円程度の消費税を納める可能性あり
  • 免税事業者のままなら、その分を「実質的な利益」として保持できる
  • ただし、BtoB取引でインボイスを求められると不利になることも

課税・免税どちらが有利かを「簡易課税制度」含めて試算する

  • 自分の売上規模・取引先の要望・経費の割合を整理する
  • 消費税の納税額を試算し、「簡易課税制度」も検討する
  • 将来的にインボイス対応を見越し、記帳と請求書管理の精度を上げておく

対策⑩:税理士との顧問契約でミスを防ぎ、節税の最適化

専門家に任せることで節税の「取りこぼし」や税務リスクを防げる

どれだけ節税知識があっても、「最新の税制改正への対応」や「最適な制度の選択」は難しいものです。
税理士と顧問契約を結ぶことで、節税の幅が広がり、帳簿の正確性も保てるため、税務調査への不安も軽減されます。

税理士費用を支払っても、それ以上の節税効果が得られるケース

  • 年間30万円の顧問料に対して、青色申告控除・共済制度・事業用資産の最適化などで50万円以上の節税
  • 交際費の扱いや複雑な案件(仮想通貨・不動産など)にも対応可能

信頼できる税理士に相談し、業種・事業規模に合う節税戦略を一緒に立てる

  • 顧問契約せずとも、スポット相談や確定申告だけ依頼する方法もあり
  • 「税理士ドットコム」「freee税理士検索」などで探すのも一手
  • 自分の事業と相性が良く、相談しやすい専門家を見つけよう

まとめ:10の節税策を組み合わせて、「お金を残す力」を高めよう

節税は、難しいテクニックではなく、「制度の正しい理解と活用」です。
個人事業主が実践しやすい、以下の10の節税策をうまく組み合わせることで、納税額を抑え、資金繰りを楽にすることが可能になります。

【10の節税対策まとめ】

  1. 経費の見直しと計上漏れ防止
  2. 青色申告の活用と65万円控除
  3. 小規模企業共済の活用
  4. 家族への給与支払いと専従者控除
  5. 減価償却・少額資産の特例活用
  6. ふるさと納税の活用
  7. 生命保険料・地震保険料の所得控除
  8. 決算前の経費前倒し支出
  9. インボイス制度と免税・課税の選択
  10. 税理士との連携で節税ミスを回避

まずは「できること」から1つずつ始めよう

この記事を読んだ今こそ、節税対策のスタートラインです。
まずは経費の洗い出しや、青色申告の準備、小規模企業共済の申込など、取りかかりやすい項目から始めてみましょう。

そして、将来的には顧問税理士との連携や、複雑な制度への対応も視野に入れて、お金が残る経営体質を作っていくことが、安定したフリーランス・個人事業の第一歩です。

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