フリーランスにとって「保険の備え」が欠かせない理由
フリーランスとして独立して働くと、会社員時代には当たり前にあった「福利厚生の安心」が一気になくなります。病気やケガで働けなくなった場合、給与のように会社からの補償はなく、休業中の生活費は自己資金でまかなわなければなりません。また入院や手術にかかる医療費も、健康保険の自己負担分や差額ベッド代などで思いのほか大きな出費になるケースがあります。
こうしたリスクに対応するために重要となるのが、所得補償保険と医療保険です。どちらか一方だけでも一定の安心は得られますが、両方をうまく組み合わせることで、経済的リスクをより幅広くカバーできます。
この記事では、フリーランスにとってなぜこの2つの保険が重要なのか、どのように選び組み合わせればよいのかを、わかりやすく解説していきます。
保険を後回しにすることのリスク
フリーランスにとって「売上が安定してきたら保険を考えよう」と思う人は少なくありません。しかし、病気やケガはいつ訪れるかわかりません。特に独立したばかりで貯金が十分でない時期に長期の療養が必要になると、生活費や事業資金が一気に底をついてしまうリスクがあります。
また、医療費の3割負担は健康保険でカバーされるものの、入院に伴う差額ベッド代や先進医療費、通院時の交通費などは自己負担になります。所得が途絶え、かつ医療費がかさむ二重苦に直面すると、フリーランスとしての事業継続が困難になりかねません。
つまり、保険を後回しにすることは、「働けない=収入ゼロ」という大きなリスクを放置することに直結するのです。
所得補償保険と医療保険を組み合わせる意味
フリーランスに必要な備えを整理すると、主に以下の2つに分けられます。
- 働けなくなったときの生活費を確保すること(所得補償)
- 入院・手術などの医療費負担に備えること(医療保険)
この2つは役割が異なるため、どちらか片方だけでは安心が不十分です。
たとえば医療保険に加入していても、生活費の補填がなければ、入院中に家賃や食費が払えなくなるリスクがあります。逆に所得補償だけでは、実際に治療費の自己負担をまかなえない可能性があります。
そのため、両者をバランスよく組み合わせることが、フリーランスにとって現実的かつ合理的なリスク対策となります。
多くのフリーランスが抱える悩み
実際にフリーランスの方からよく聞かれる声には次のようなものがあります。
- 「所得補償と医療保険、両方入ると保険料が高くなりそうで不安」
- 「自分の業種に合った保険の選び方がわからない」
- 「休業中にどのくらいの補償額があれば安心できるのか見当がつかない」
これらの悩みを解決するには、まずそれぞれの保険の役割や特徴を理解し、自分の働き方や収入状況に応じて必要な範囲を見極めることが重要です。
フリーランスに最適な保険の組み合わせパターン
フリーランスにとって理想的なのは、最低限の生活費を確保するための所得補償保険と、入院や手術の経済的負担を軽減するための医療保険を組み合わせることです。
具体的には、次のようなイメージが目安になります。
- 所得補償保険
月額収入の60〜70%程度を補償額として設定
(例:月収30万円の場合、補償額は18万〜21万円が目安) - 医療保険
入院給付金日額5,000〜10,000円程度を基本に、特約で先進医療や通院保障を追加
この組み合わせにより、
「治療にかかる医療費」+「休業中の生活費」=ダブルの備えが可能になります。
どちらか一方に偏るのではなく、両者の役割を理解して適切に分散させることが重要です。
所得補償保険が果たす役割
フリーランスにとって所得補償保険は、いわば「働けない間の給料」に相当します。
会社員であれば健康保険の「傷病手当金」で給与の2/3程度が一定期間支給されますが、フリーランスにはこの制度がありません。そのため、病気やケガで働けなくなると、収入が完全に途絶えてしまいます。
所得補償保険に入っていれば、休業期間中に設定した金額が毎月支給されるため、家賃や食費、光熱費などの生活費を確保できます。
また、給付期間は「1年」「2年」「5年」といった形で選べるため、フリーランスの業種やリスクに合わせて柔軟に設計できます。
医療保険が果たす役割
一方、医療保険は「治療にかかる直接的な費用」をカバーします。
健康保険があるとはいえ、3割負担や高額療養費制度の自己負担は発生しますし、差額ベッド代や先進医療などは公的保険ではカバーされません。
そのため、入院日額給付金や手術給付金を受け取れる医療保険に加入しておくことで、医療費の突発的な支出に対応できます。
特にフリーランスは、「急な治療費の出費=事業資金を圧迫」につながるため、医療保険の備えは非常に重要です。
なぜ両方を組み合わせる必要があるのか
所得補償と医療保険は、それぞれ補う範囲が異なります。
- 所得補償保険:生活費や固定費を守る
- 医療保険:治療にかかる費用を守る
どちらか片方に加入しても、「治療費は出るけど生活費がない」「生活費はあるけど治療費が高額」というように、守りにスキが生じてしまいます。
両方をバランスよく組み合わせることで、フリーランスにとって最大のリスクである「収入ゼロ」と「治療費の急増」を同時に回避できるのです。
業種別に考える保険の組み合わせ例
デザイナー・ライターなどPC作業中心の業種
- リスク特性:通勤事故や肉体労働によるケガは少ないが、長時間作業による腰痛やメンタル疾患のリスクがある。
- おすすめ組み合わせ:
- 所得補償保険(給付期間2年/月額20万円程度)
- 医療保険(入院日額5,000円/先進医療特約)
- 理由:長期休業につながりやすい病気や精神的な不調に備える必要があるため、所得補償はやや長めに設定すると安心。
フリーランスエンジニア・プログラマー
- リスク特性:精神的ストレスや不規則な生活で生活習慣病・メンタル疾患のリスクが高い。
- おすすめ組み合わせ:
- 所得補償保険(給付期間5年/月額25万円程度)
- 医療保険(入院日額10,000円/通院特約付き)
- 理由:収入水準が比較的高く、長期的な療養リスクもあるため、所得補償を手厚く設定。医療費負担も高額になりやすいため、医療保険も厚めに。
建設業・運送業・カメラマンなど体を使う業種
- リスク特性:事故やケガによる長期入院・療養の可能性が高い。
- おすすめ組み合わせ:
- 所得補償保険(給付期間1〜2年/月額15万円程度)
- 医療保険(入院日額10,000円/手術給付金手厚め)
- 理由:身体的な事故リスクが高いため、医療保険のカバーを重視。所得補償は短期でも十分効果を発揮するケースが多い。
コンサルタント・講師業など対人サービス中心の業種
- リスク特性:体を酷使するリスクは少ないが、声や体調不良が直接仕事に直結する。
- おすすめ組み合わせ:
- 所得補償保険(給付期間2年/月額30万円程度)
- 医療保険(入院日額5,000円/先進医療+生活習慣病特約)
- 理由:1日でも仕事ができないと収入に影響しやすいため、所得補償を厚めに。医療保険は基本プランに加え、生活習慣病対策を意識。
シミュレーションで見る安心度
ケース1:月収30万円のデザイナー
- 所得補償保険:月20万円×12か月=240万円
- 医療保険:入院30日×5,000円=15万円+手術給付金20万円
→ 合計で275万円の保障
👉 短期の入院〜中期の休業にも十分対応可能
ケース2:月収50万円のエンジニア
- 所得補償保険:月30万円×24か月=720万円
- 医療保険:入院60日×10,000円=60万円+手術給付金30万円
→ 合計で810万円の保障
👉 高額収入の停止リスクにも安心のカバー
保険を選ぶためのステップと注意点
ステップ1:自分のリスクを把握する
- 自分の仕事のスタイルを整理(デスクワーク中心か、肉体労働中心か)
- 生活費と貯金額を確認し、何か月収入がなくても耐えられるかを把握
- 家族構成や扶養の有無を踏まえて「必要最低限の保障額」を計算
👉 例:独身で月生活費20万円 → 所得補償は15〜20万円程度
👉 家族ありで住宅ローンあり → 所得補償は25〜30万円以上が安心
ステップ2:所得補償保険と医療保険のバランスを決める
- 所得補償保険:生活費を守る「収入補填」がメイン
- 医療保険:医療費の自己負担+休業初期のリスクを軽減
👉 ポイントは「どちらか一方だけ」では不十分。
両方を適度に組み合わせることで、入院〜長期休業まで幅広く対応できる。
ステップ3:見積もりを複数社で比較する
- 保険料は同じ条件でも会社によって差が大きい
- 契約条件(免責期間・給付期間・特約の有無)をしっかり比較
- ネットの比較サイトやFP相談を活用するのがおすすめ
ステップ4:税務メリットも確認
- 所得補償保険は基本的に経費にできない(雑所得扱い)
- 医療保険は生命保険料控除の対象になる
- 法人化している場合は、法人契約で損金算入できるケースもある
👉 個人か法人かで扱いが変わるため、契約前に税理士に確認すると安心。
ステップ5:定期的に見直す
- 独身から結婚・出産 → 必要保障額は大きく変わる
- 収入増加に伴って補償額も見直す
- 医療の制度改正に合わせて特約を調整
👉 加入して終わりではなく、3〜5年ごとに見直す習慣をつけることが大切。
まとめ
フリーランスが安心して働き続けるためには、 所得補償保険と医療保険の両輪で備えること が重要です。
- 所得補償保険 → 収入が止まった時の生活費を守る
- 医療保険 → 入院・手術の医療費負担を軽減
業種やライフスタイルに応じてバランスを調整することで、無駄なく効果的な保障が実現できます。
「自分に必要な保障はどのくらいか?」を考えることから始め、複数社の見積もりを比較し、将来のライフイベントに合わせて柔軟に見直していきましょう。

